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『 第32進海丸 』
2006.7.7.Fri. at 東京グローブ座
席は1階J列のほぼど真ん中。観やすかったです。
ストーリー(作品本体)について。私が感じたことを一言で言うと、「わかりやすい」話だなと思いました。隅々まで整合性があるというか。「なんでそこでそうなる?」っていう矛盾点みたいなのがなく、ごくごく普通に腑に落ちる話でした。さらに、例えば、冒頭でサトルが一升瓶をもてあそんでいたのは単にヒマだったから手遊びしてたんじゃなくて(最初に冒頭を観てた時は、単に時間を持て余してることを表現してるのかと普通に思ったのですが)、実は、進海丸に乗りたくてひそかにその一升瓶で鰹釣りの練習をしていたのだということが後半の大詰めのところで明らかになったり、あと船頭・坂本さんが進海丸の漁を切り上げて戻ってきた真意とか、サトルの兄ヒロシがずっと餌投げだけをやっている理由とか、「ああ〜なるほどそうだったのか」と納得できる事実が”後から”判明する、っていうのが何箇所かあった気がします。そのすべてが「つうかもっと早く言えばいいのに、そしたら話早いのに(・w・)」と思えるようなものだとも言えなくもないんだけど、そこはそれ、不器用な男たちの話ってことで、納得の範囲内です。総じて、ああわかるわかる、そうかそうかと思える話でした。
しかしながら、泣けたかどうかっていうのはまた別の話です。これは私が、観劇前に、ゲネプロ(公開稽古)について書かれたYahooの記事を読んでしまっていた、すなわち号泣シーンがあるってことを知ってしまっていたことが大いなる要因…またの名を敗因…だったわけなんですけどね。。そういう場合、私の場合はもう、本編を観てもいっさい泣けません。この点にかけては自信あります(何の役にも立たない自信)まあだから、三宅さんの熱演の涙を実際に目にしてもまったく私は泣かなかったわけですが、「泣ける」ということが作品の評価点であるとはいっさい思っていない私なので(泣ける作品≠いい作品)、泣けなかったということには何の問題点もありません。ただ、もし号泣シーンのことを知らなかったら泣けたかもしんないなぁ!と残念に思う気持ちはあります。。矛盾してますかねぇ。せっかくだから、舞台上の三宅さんと一緒に滂沱たる涙を流したかった(-w-)と思ってみたりもしますが。
でもなぁ、この号泣ポイントのテーマである「父と息子」ということ自体、自分が”共感”できるかどうかっつったら微妙なとこかもなぁー。「父と娘」だったら今こう書いただけでも泣けそうな勢いなんですが、つまりは、「本当のことをなかなか明かさない男たち」という状況も「父と息子」という関係性も、自分(私)からはちょっと離れたところにある世界なので、ネタバレ記事を見ていようがいまいが、結局はちょっと離れたところから引いて観ていたかもしれません。「感情移入」というスタンスで観れる作品ではなかった気がします、私の場合は。でもそれって逆に言うと、「男たちの世界」「父と息子」という世界が、紛うことなくそこに確立されていたことの証明ではないですか?「私の共感できる世界とはちょっと離れてるなー」と思うってことは、「私の共感できる世界とは違う世界」がそこに確実にあったってことですから。ね?ね?(誰に(^w^;))そんなふうにわたくしは思いましたよ。
ということでつまり、「男たち(土佐の漁師たち)の世界」、「父と息子」というテーマが、わかりやすく、且つ、よくまとまって描かれていたんではないかと思います。いつもながら偉そうなまとめ方ですみませんが<(_
_)>客席ではすすり泣く声もあちこちで聞こえてましたし、共感して観ていた人もたくさんいたと思いますよ。あと笑いどころもねー、過剰でもなくちょうどよい加減で、とてもよかったと思います。ごく普通に笑えました。←ほぼ最上のほめ言葉です。いちばん好きだったのは、「よぉーー似ーーちゅーーー」のあたりの、必要以上の間(ま)の長さ(笑)あと船主さん(コウゾウさん)の台詞の間(ま)も、独特な悠長さで好きだったなー。あとは戸田丸の2人にすごい笑いました。若手芸人コンビか!ってほどのボケとツッコミっぷり。そしてずっと正座してるの大変だっただろうなぁ(笑)
作品本体に関して、上の段落で書ききれなかったことをもうちょっと書きます。
・泣けなかったとは言いながらも、いちばん最後のシーンなどは、けっこうグッとは来ましたね。泣きながら怒ってるようなものすごい覇気で鰹の釣り方を教える兄と、そのそばでただ涙流しながら突っ立ってる弟。これ、少年漫画のラストカットだったらたぶんすごい泣けるだろうなーと思いました。(個人的に思うんですけど、ここ、サトルはカウンターの中じゃなくて、ステージ中央あたりに出てきて、突っ立ってる全身が見えたほうがいいんじゃないかなぁ!と思いました。そのほうがより泣ける気がする。というか三宅さんの「突っ立ってる」お芝居が見てみたいと思いました)
・キャストが皆わりと、土佐弁で怒鳴りながらとかの台詞が多く、何て言ってるのかが聞き取れない箇所もけっこうありました。しかしそれでも、話の筋は把握できた。だからやっぱり、わかりやすいしっかりした芯がある(枝葉末節がわからなくても、幹を辿ってけば大丈夫、みたいな)話であり、そして、キャストの皆さんが「言葉(字面)以外のとこでも十分に表現している」(間とか、表情とか、声のトーンとか)そういう作品なんだなと思いました。
・「笑いどころ」ってことにちょっと関係するけど、今回、日替わりネタとか身内ネタといった「ファンへのサービス」的なものがまったくなく、それが私には目新しかったです。そういうお芝居のほうがたぶん普通なんだろうと思うけど、そういうお芝居に三宅さんが関われたっていうのは、とてもいいことなんじゃないかと思いました。上半身脱いだり、カーテンコールで手振ったり、今までだったら三宅さんがやりそうな役回りのことを、今回はことごとく裕太くんがやってた(笑)それがなんかすごい面白かったです。そしてすごいよいなーと思った。いわゆる「ジャニ的」とでも言えそうな役回りを”しない”という立ち位置にも立てるんだなーと思って、すごく、三宅さんの地平が広がってる気がしましたよ。うん。説明が下手ですが、何言ってるかお解りいただけたら幸いです<(_
_)>
・場面転換の時の暗転の闇が、目にしみるほどの深い闇でびっくりした。目に痛いほどの闇でちょっと怖かった。って子供か(-w-;)いやー初めての経験だったもので。非常灯とかもすべて消えてたよね。あの中で演者さんたちはよく次の場面の立ち位置とかに移動できるなぁと思いました。←なんかすごいどうでもいい感想ですけどすみません<(_
_)>すごいなぁと思ったので覚え書として一応。
三宅さん個人に関しまして。
まずはネタバレ掲示板に書きましたが、見た目がかなり想像以上に「男の世界」だったので(笑)お芝居が始まってからしばらくは、わーモヒカンが金色だ。。あれ〜お口のまわりには御髭が。。と、そのあたりにばっかり見とれてしまいました。いやーありですね。全然ありですね。というかコンサートとかだったらわかんないけど、こういう進海丸というお話の世界においてのそういうビジュアルだから、全然ありでしたね。(果たしてコンサートの時にどうなっているのか。。そして自分はその時どう思うのか。。楽しみです・笑)
あとこれも掲示板にも書いたし上の段落にもちょっと書いたけど、カーテンコールの時に、手振ったりしないのがすごくいいと思いました。「卒業」の時は幕が下りる時にきゃわゆいケンジャミンになってたけど、今回はああいうテンションの作品ではないってとこがきっちりと線が引かれている感じがして、そういう三宅さんの意識を見れた気がしてうれしかったですね(^w^)
でもひとつだけ、劇中で気になったこと書いていいですか?ステージの上手のほうでサトルが土下座するシーンがありますよね、客席側に背(お尻)を向けた形で。そうすると土下座しているサトルの後ろ姿を我々は見ることになるのですが、その足がね、足の裏が、傾き方が両足とも同じ方に傾いてるのが気になった!言ってることわかります?正座とか土下座とかすると、右足と左足は「逆ハの字」の形になる(後ろにいる人から見るとそのように見える)のが普通だと思うんですが、ステージ上のサトルくんの足は、両足とも同じ方向に傾いてた!走っていって土下座、っていう流れだったと思うのでその勢いがついちゃってるのかもしれないけど、それだとやっぱり崩れた土下座に見えるし、「足が…」っていうとこに気がいってしまう私のような人間もいるので、大事な場面だし直したほうがいいのではなかろうかと思いました。何か意図があってあえて崩してるんならいいんだけどね。(意図があるんでしょうっていうご意見の方いらっしゃいましたらぜひお聞かせください<(_
_)>)
そういえばカーテンコールの時、客席にお辞儀し終わって舞台の奥に(バーマリーナの扉から)戻っていく時に、裕太くんが、三宅さんのお尻をぎゅっと掴みにいってた(笑)三宅さんがちょっと困ったように笑った横顔が見えました。微笑ましかったです(^w^)カーテンコールは計3回だったかな、たぶんその2回目の時のできごとでした。3回目は三宅さんが1人で出てきて客席にお辞儀・客席スタオベ。
観劇後にパンフを読んだら、「サトルが周りを巻き込んでいくって言うよりも、濃いキャラの大人たちにサトルがもまれるような話」云々という言が載っていて、うーんわかる成程成程と思いました。サトルは主人公でありながら、しじゅう前面に出てるってわけではなかったですよね(「カウンターの中にいる」っていうのがそのことを象徴していたのではないかなぁと思います)。そういうところも、私が今まで観たブイがらみの舞台からするとちょっと画期的かもと思いました。
↓は終演後に撮った、グローブ座ロビーに飾ってあった大漁旗。私なんぞが言うのはおこがましいですが、この進海丸という作品は、三宅さんの演劇キャリアに小さからぬ進歩をもたらしたと言えるのではないかと思います。そうさ祭り上げられるだけが芸じゃないぜよ。舞台人としての三宅さんに、これからも実り多い大漁の波が来ますようにとお祈り申し上げつつ。
三宅さーんおつかれさまでした!いいもの観たなっと思いましたよ。いい作品だと思います(^w^)ノ\>゜)))彡
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