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映画 『 坂道のアポロン 』  2018年3月10日全国公開

 原作を読んでいない、アニメも観ていない、ジャズにも詳しくない、そんな私による劇場版(実写版)坂道のアポロンの感想です。

ストーリーは、展開が目新しいということは特になく、むしろ「こういうことってあるよね」という、身近な感じ。途中からもう、何角関係なのかは数えるのはやめたけど(笑)そこはなかなかすごいけど。でもやっぱり、自分の想い人が他の人を想っているということはよくあることで、しかもそれが何連か連鎖しているというのも時々あることだなぁと思いました。つまりその切なさがよくわかる。その連鎖の最後尾にいる薫さん(知念さん)が切なかったねぇ、でも10年の時を経て、りっちゃん(菜奈ちゃん)がそんな薫さんのほうを向いてくれてよかった。はっきり告げる一歩手前までいって結局またはっきり言わないままになってたけど、でもその余韻みたいなのがかえってよかったね。みなまで言わないという。心憎いね。教会と神父(見習い)というお膳立てはばっちりだもんね!(笑)言葉ではなくそういうモチーフで行く末のハッピーエンドを暗示させるというのがいいなぁと思いました。
 そういう恋の行方であり、それと同時に、人としての関係=友情の行方であり。パンフレットにも書いてあったけど、そういう「恋」と「友情」が何となくふんわりと同化して描かれている感じもしました。恋であれ友情であれ、どちらも結局は人と人との関係である…みたいな感じ。そういうことをテーマにしている映画ではないんだけど、1人ずつの気持ちがよくわかる描かれ方がされているから、そういうことも感じるのかな?と。3人とも、決して器用ではなく、うまくいくことばかりではない(むしろうまくいってることのほうが少ない)っていうのがとても身近に感じる。そんな3人が3人とも、自分の大切なものを大切にした結果、いったんはばらばらになって、でも10年かかるけど再会して、また大切なものとして輝き始める。現状うまくいっていないという流れの中にあったとしても、「大切にしているものは壊れない」のだ、というメッセージを、私はこの映画から受け取った気がしました。
 千太郎(大志君)が冒頭、お迎えに来てくれたんですか…みたいなこと言ってたし、ロザリオと写真が意味ありげな感じで映されてるしで、もしや死んでしまうのでは感が満載だったんだけど、そうでなくてよかった。もーバイクの2人乗りとかやめてー!ヘルメットもかぶってないしー!!(>_<)という展開ではありましたが誰も死んでしまわなくてよかったよかった。誰かが死んでしまうことで話が展開していくというのが個人的にあまり好きじゃないので。まあ個人的好き嫌いだけどね。あとそれとは関係ないけど、りっちゃん(律子)の律は旋律の律かな、いい名前(^w^)

恋、友情、そしてもう1つの柱が「音楽」。ジャズ。ちなみにロックはディスられている(笑)ロックっていうかGSね。当時はあれをロックと呼んでいたのか。そもそも「異端」みたいな意味だもんねロックって。などとつらつらと思う展開。クラシックもちょっとディスられている。「魂の触れ合い」みたいな役割としてここはやっぱりジャズなのかと。でもまあ薫さんにクラシックピアノの下地があったからこそのジャズなんだけどね。終盤の文化祭のシーンが圧巻だったな。。事前のPR映像とかでここほとんど流れてなかった気がする(気のせい?)けど、それがすごくありがたかった。もうなんか呆気にとられながら観ました。泣くのも忘れてたみたいな感じ(笑)私はね。あと最初のほうで薫さんがジャズセッションにおっかなびっくり加わるとこも良かったな。初めはおっかなびっくりなんだけど、楽しくなるスイッチが入った瞬間ここだ!みたいなとこがあって、それがよく出てたように思いました。

知念さんは薫さんの内にこもりがちなところとか、おろおろしがちな佇まいとかがとてもよく似合ってた。薫さんという人そのものって感じだった。まゆげ濃い、まつげ長いっていう正統的なハンサムさんだから時代感もばっちり。菜奈ちゃんも小さな街の清廉な女子高生という感じがよく出てた。そしてこの2人も良かったんだけど、個人的には千太郎の大志君、大志君の千太郎が超絶よかった!!原作を知らないので、原作のキャラクターを体現できてるかどうかという基準ではなく、ただただ、良かった。ちょっとマッドドッグっぽい目つきとか、まっすぐで、まっすぐすぎるがゆえの罪深い感じ(鈍感さ)とか、役の造形がよくできてるなぁと思いました。パンフレットにも似たようなこと書かれてるけど「太陽神」みたいな感じだったよね。薫さんとりっちゃんは普通の子って感じなんだけど、千太郎だけはいろいろ突き抜けたところがある存在で、アポロン(ギリシャ神話の音楽の神)みたいねって言われてたし神父(見習い)だし、暗に「神」的役割を担っていたのかなぁと。でも、そういう神的役割だったり、複雑な過去と現在だったりを抱えながらも、単純で元気な1人の高校生でもあるわけで、そういう複合的な千太郎が不自然じゃなくとても魅力的だった。原作者さんや大志君始め、この役を造形した人々がすばらしいと思いました(絶賛)

この映画を観るにあたって個人的に楽しみにしていたのが60年代ファッション。堪能したー。知念さんフレッドペリーのポロシャツもおじさんメガネも似合ってて最高。あとやっぱり菜奈ちゃんの女の子ファッションだなー、髪も2つ結びでプラスチックのピンで留めてるあの感じ最高だし、あと水着!!でもあの水着、あの時代にあんなかわいい水着あったのだろうか。。確かにレトロな水着だったんだけど、どうしても隠し切れない現代感っていうか。。もしかして菜奈ちゃん効果なのだろうか、菜奈ちゃんがあれ着ちゃうとどうしても現代のランウェイ感が出ちゃうのだろうか。。とかつらつら思いながら見てました(笑)でもかわいいからいいんだけどね(結局それ)随所でレトロファッション眼福でした。

まとめ。というか最後に。
 エンドロールで小田さんの書き下ろし主題歌が流れるのですが、けっこう唐突というか、映画本編はずっとジャズ推しだったのに、ここにきて急に小田さん。。もしかして蛇足…??エンドロールもジャズでよかったんじゃないの…??とその時は戸惑っておりましたが、あとからこの映画全体とか個々のシーンとかを思い起こしたりすると、頭の中で「あの坂道を〜♪」と小田さんの歌声が流れ始めるので(笑)結果ぴったりだったのかなと。あとから思えばだけど、この映画のさわやかな読後感(映画だから読んではいないけど…「後味」みたいな)とか、「大切にしているものは壊れない」というまっすぐなメッセージ(←私が勝手にそう感じてるだけですが)とか、そういったものにぴったりな主題歌だなと思いました。つまり、そういう映画だったということです。さわやかで、まっすぐで、素敵な映画だった。最初のパラグラフにも余韻という言葉を書きましたが、観終わった後に、心地よい余韻がずっと長く残る感じだった。観終わってパンフレット買いに直行しましたから(笑)この映画の世界を手元に残しておきたくて。
 
 掲載の写真とかインタビューも素敵。クランクアップ時の知念さんの様子がグッとくる(;w;)作り手の皆さんにも愛され、観る人にもさわやかな余韻を届ける、素敵な映画だと思います(^w^)

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